よくあるご質問
債務整理全体
- 勤務先をクビになる?
- 勤務先が、従業員が自己破産手続等の債務整理手続をしたことを理由に解雇することは不当解雇となり無効です。
ただし、破産申立や民事再生申立の手続前に、貸金業者からの督促等が行くことにより、事実上勤務先に居づらい状況になる可能性がありますので、支払いが厳しくなった段階で、弁護士や司法書士に相談されることをお勧めします。 - 貸金業者から嫌がらせを受けるのでは?
- ほぼないと言っていいでしょう。
弁護士や司法書士から通知をした場合、大手の貸金業者であれば嫌がらせ行為をすることはありません。
以前は大手の貸金業者も厳しい取立てを行っていましたので、そのイメージで不安を感じて債務整理に踏み切れない相談者がいらっしゃると思いますが、現在、企業のコンプライアンス(法令遵守)が厳しくなり、大手の貸金業者が嫌がらせ行為をした場合には、法律違反で業務停止等の処分を受けるリスクがある他、企業の存亡自体を左右する大問題になりかねませんので、ご心配のようなことはないと考えて大丈夫です。
なお、嫌がらせがあるとすればヤミ金業者ですが、警察等の協力を得ながら対応していくことで、ほとんどのケースは収まります。
民事再生編
- 民事再生は、弁護士や司法書士に依頼しないで自分でもできますか?
- 本を読んで勉強しながらやれば、ご自身でできないことはありません。
特に個人民事再生は法律も複雑なうえ、今後の返済計画が非常に大事になりますので、専門家のサポートがあった方が望ましいと思います。(実際、民事再生については、弁護士または司法書士の援助が付いているのが大多数のようです。)
また、生活の再建は、その時点の債務を減らすだけ(自己破産や個人民事再生手続をするだけ)では完結しません。これまでの生活状況を見直し、同じ失敗をしないようにすることが大切です。
そういった意味でも、第三者である弁護士や司法書士に相談しながら再生計画を立てることをおすすめします。 - 借金の原因はほとんどギャンブルですが、個人民事再生手続を利用できますか?
- 利用できます。
自己破産の場合には、免責不許可事由に該当する可能性がありますが、個人民事再生では免責不許可事由というものはありません。
もともとの原因がギャンブルであったとしても、そこから抜け出せていれば、基本的には認められると思われます。 - アルバイト(パート)でも個人民事再生を利用できますか?
- 安定した収入があれば利用できます。
ただし、実際に再生計画の認可決定を受けるためには、継続的な収入の見込みが必要になりますので、慎重な判断がくだされる可能性はあると思います。 - 自分の収入がない専業主婦でも、夫に定期収入があれば民事再生を利用できますか?
- 利用できません。申立てをするご本人に将来において継続的な収入がなければ認められません。
- 勤務先には知られてしまうのですか?
- 個人民事再生をしても、勤務先からの借入れがない限り(勤務先から借入れがある場合、会社も債権者として扱われます。)、裁判所から勤務先に通知が行くことはありませんので、直接知られることはありません。
むしろ、貸金業者への支払いができない状況で、個人民事再生手続等をとらずに放置しておくと、相手の業者から裁判を起こされる可能性がありますので、早期に司法書士等に相談することをおすすめします。 - 個人再生手続をすると保証人はどうなりますか?
- 債務者が個人再生手続をしても、その免責の効果は保証人には及びませんので、保証人は主債務者に代わり、返済する義務があります。
保証人に迷惑を掛けたくないという理由で、法的手続を躊躇する方がいらっしゃいますが、すでに返済が不可能な状況にありながら、結論を先延ばしにするのは、逆に保証人の方にも迷惑が掛かる可能性があります。
まずは司法書士等に相談し、現在の状況を客観的に把握することから始め、できれば事前に保証人の方にも事情を説明して理解してもらえるようにしましょう。 - 任意整理で解決した方がいいのでしょうか。個人民事再生がいいのでしょうか。
- 利息制限法で引き直し計算を行うのは双方に共通しています。
端的に言いますと、個人民事再生の利点は、任意整理と違って元本のカットが期待できるという点ですが、裁判所を通じた手続のため労力と費用が掛かるのが難点です。
例えば、適法な利率で計算した結果、債務額が100万円となり、最低弁済額基準による計算結果も100万円以下だとした場合、個人民事再生手続をしても返済額は、100万円で変わりませんので、手続費用が比較的低額な任意整理が望ましいと言えます。
仮に債務額が250万円で、最低弁済額100万円の場合、手続費用と債務者ご本人の労力を考慮に入れても、返済額を100万円まで減らせる(可能性がある)個人民事再生手続を利用するメリットがあると思われます。
最も判断で迷うのは、債務額が160万円程度から220万円程度の場合です。
個々の事案ごとに最善の手続は異なりますので、じっくり弁護士、司法書士と相談しながら決めてください。 - 滞納している税金はどうなるの?
- 個人民事再生手続をしても税金の支払いは免れることはできませんので、全額支払う必要があります。
再生計画を立てる際、滞納税金の支払いも視野に入れて検討する必要があります。 - テレビや冷蔵庫もとられてしまうのですか?
- 日用品については、そのまま所持が認められます。
なお、クレジットで購入した物で、自動車やテレビなど価値のある物については、契約条件にもよりますが、後日、クレジット会社等に引渡さなければならない場合があります。 - 個人民事再生手続をするとアパートは退去しないといけない?
- 家賃の滞納がなければ、そのようなことはありません。
なお、家賃の滞納がある場合には、契約を解除される可能性はありますので、家主さんとの話し合いが必要になると思われます。 - ローンの残っている自動車はどうなる?
- 通常、自動車ローンを組む際に、所有権留保が付いており、ローンを完済するまではローン会社や自動車販売会社が所有者になっています。
このような場合、弁護士・司法書士から受任通知をすると、所有者から返還を求められ引渡すことになりますので、所持が認められません。
所有権留保が付いていない場合、自動車に価値があれば、破産財団に含まれ換価されることになりますので、やはり所持が認められません。例外的に、古い自動車で、価値が全然ない、という場合には所持が認められる場合があります。 - 自動車ローン支払い中の自動車があるのですが、住宅ローン特則のように自動車を維持する制度はありませんか。
- 残念ながらありません。
通常、自動車ローンを組む際に、所有権留保が付いており、ローンを完済するまではローン会社や自動車販売会社が所有者になっています。
このような場合、弁護士・司法書士から受任通知をすると、所有者から返還を求められ引渡すことになりますので、原則として所持が認められません。 - 住宅ローン特則は、事務所兼自宅でも利用できますか?
- 総床面積の2分の1以上が居宅(自宅)なら利用できます。
- 住宅ローンの抵当権の他に、事業資金の抵当権も付いていますが、住宅ローン特則は利用できますか。
- 残念ですが、利用できません。
- 個人再生委員とは何をする人なのでしょうか。
- 東京地裁では必ず選任されています。再生委員は裁判所が選任し(東京地裁では弁護士の中から選任している。)、裁判所の補助的な業務を行います。
債務者の財産や収入の状況を調査したり、再生計画案の作成に際して必要な勧告をするのが主な仕事です。
また、債権額に争いがあり、評価の手続が必要になった場合には、その手続についても裁判所の補助を行います。 - 個人民事再生の手続期間はどのくらいかかりますか?
- 個人民事再生手続による返済が実際に開始されるまでは、最低でも約1年程度はかかります。
司法書士等が受任してから申立てまでにも数ヶ月間の準備が必要になります。準備と並行して個人民事再生手続による返済が現実に可能かどうか、司法書士等も判断させていただくことになりますので、事案によって申立てまでに要する期間は異なります。
裁判所に申立を行った後、通常は7ヶ月から9ヶ月程度で再生計画の認可が確定します。 - 個人民事再生と自己破産との大きな違いは何ですか
- ①弁済金額の違い
個人民事再生手続は、住宅ローンおよび免責が認められない債務(税金等)を除いた借金(元本)の一部を免除してもらうことが可能な手続ですが、借金の一部は返済しなければなりません。
これに対して自己破産の場合には、一部の免責が認められない債務(税金等)を除くすべての借金返済が免除される点で大きく異なります。
再出発という意味では、自己破産の方が適しています。
②住宅の維持の可能性
個人民事再生手続の場合、住宅ローン返済中の住宅を維持する手続が用意されていますが、自己破産手続にはこのような手続はなく、原則として自宅を手放すことになります。
③職業制限の存否
自己破産の場合、法律により一定の職業への就職が禁止(破産手続開始から免責決定の確定までの期間)されるデメリットがありますが、個人民事再生ではこのようなデメリットはありません。
④借金の原因を問わず手続が可能
借金の主な原因がギャンブルや異常な飲食代等の浪費の場合、自己破産では免責不許可事由に該当します。裁判所の裁量により免責が認められることが多いとは言え、免責されないリスクもあります。
この点、個人民事再生手続では、破産でいう免責不許可事由がないため、借金の原因により手続が選択できないことはありません。(債権者の不同意意見が多い場合には、認められない可能性もあります。)
⑤信用情報登録機関(ブラックリスト)への登録
個人民事再生でも自己破産でも共通して登録されます。この点に関しては、いずれの手続でもそれほどの違いはないと思います。
⑥官報への掲載
これも掲載内容が、「自己破産」か「個人民事再生」かという点を除き、掲載されるという点では共通ですので、それほどの違いはないかと思います。
自己破産編
- 自己破産すると、住民票や戸籍に記載されるの?
- 記載されません。
役所で身分証明書という書類を交付請求すると、破産者であるという記載がされますが、勿論、一般には非公開で、第三者が勝手に交付を受けられるものではありません。
身分証明書の提出を求められる機会はほとんどないですし、その記載自体、免責決定が確定すると抹消されますので、記載されるのはごく短期間で、不利益はそれほど大きくないと思います。 - 自己破産すると、選挙権はなくなるの?
- 選挙権はなくなりません。
選挙権は憲法で保障された大切な権利です。破産手続はこのような権利を奪う制度ではありません。 - 自己破産すると、家族にも不利益が及びますか?
- あくまでも個人の問題ですから、ご家族に不利益が及ぶことはありません。
ただし、ご家族が住宅ローンを組む際に保証人になれないなど、事実上の不利益の可能性はあるかもしれません。 - Q.自己破産すると、海外旅行には一生行けなくなる?
- A.そのようなことはありません。
破産手続中は、居住地を離れる際には裁判所の許可が必要ですが、破産手続終了後は何も制約はありません。
生活の再建を果たせば、将来的に海外旅行に行くことは何ら問題ありません。 - 自己破産すると、年金が受給できなくなる?
- 年金は普通に受給できます。年金の受給権まで奪われません。
- 自己破産すると、自分が契約者の生命保険はどうなりますか?
- 掛け捨ての生命保険であれば資産価値はありませんので、保険料の支払いが遅れていない限り、そのまま契約を維持することも可能です。ただし、生活費の見直しの中で、契約を維持するかの検討は必要だと思います。
問題は、積立式の生命保険や学資保険です。契約者が自己破産する場合、原則としてこれらは資産となります。現時点で解約した場合の解約返戻金額を保険会社に証明してもらい、原則として20万円以上の返戻金がある場合には解約されて、債権者への配当に回されることになります。
持病等により、今後保険に加入することができないなどの事情がある方につきましては、裁判所の判断により、解約返戻金相当額を現金で納付することにより契約の維持が認められる場合があります。
生命保険・学資保険の扱いは非常に難しいので、詳しくは手続を依頼する司法書士等に相談してみてください。 - 自己破産すると、勤務先をクビになる?
- 勤務先が、従業員が自己破産手続等の債務整理手続をしたことを理由に解雇することは不当解雇となり無効です。
ただし、破産申立以前に、貸金業者からの督促等が行くことにより勤務先に居づらい状況になる可能性がありますので、支払いが厳しくなった段階で、弁護士や司法書士に相談されることをお勧めします。
免責不許可事由の例
- 浪費やギャンブルなどで著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担した場合
- 破産者の財産を隠したり、壊したりして債権者に不利益な処分をした場合
- 一部の債権者に特別の利益を与える目的で担保を提供したり、弁済期前に弁済するなどした場合
- 虚偽の債権者名簿を裁判所に提出した場合 など
- 免責不許可事由って何ですか?
- 破産手続は、免責決定を経て晴れて債務の支払いが免責されるわけですが、一定の不誠実な債務者の債務については、免責を認めるべきではないということで、免責不許可事由というものが定められています。
ただし、免責不許可事由がある場合でも、多くの場合、最終的に免責決定が出されていますので、弁護士・司法書士にご相談ください。 - ギャンブルによる借金でも破産できるの?
- ギャンブル等が借金の主な原因の場合、免責不許可事由に該当しますが、現在の実務では、よほど悪質な場合を除けば、債務者の生活再建のために、裁判所の判断で免責決定を出してくれる事案が多いと言えます。
勿論、同じ過ちを犯さないという強い決意と反省が必要になります。 - 勤務先には知られてしまうのですか?
- 自己破産をしても、勤務先からの借入れがない限り(勤務先から借入れがある場合、会社も債権者として扱われます。)、裁判所から勤務先に通知が行くことはありませんので、直接知られることはありません。
むしろ、貸金業者への支払いができない状況で、自己破産手続等をとらずに放置しておくと、相手の業者から裁判を起こされる可能性がありますので、早期に司法書士等に相談することをおすすめします。 - 家族に内緒で自己破産の手続ができるのか?
- 守秘義務がありますので、司法書士から直接ご家族にお知らせすることはありません。
ただし、間接的に知られる可能性は否定できませんので、その前にご自分で打ち明けることをおすすめします。
また、借金の原因が生活費の不足等の家庭全体の問題である場合、ご家族に内緒にしておいては自己破産をしても抜本的な解決にはなりません。
一度免責決定を受けた場合、7年間は破産免責が認められないのが原則です。同じ失敗を繰り返さないためにも、ご家族に状況を打ち明け、ご家族が協力して生活の再建を図ることが重要です。 - 自己破産すると、保証人はどうなりますか?
- 債務者が自己破産しても、その免責の効果は保証人には及びませんので、保証人は主債務者に代わり、返済する義務があります。
保証人に迷惑を掛けたくないという理由で、自己破産手続等の法的手続を躊躇する方がいらっしゃいますが、すでに返済が不可能な状況にありながら、結論を先延ばしにするのは、逆に保証人の方にも迷惑が掛かる可能性があります。
まずは司法書士等に相談し、現在の状況を客観的に把握することから始め、できれば事前に保証人の方にも事情を説明して理解してもらえるようにしましょう。 - 夫の借金は、離婚すれば支払いを免れる?
- そもそも借金は基本的に個人の問題のため、保証人になっていない場合には、原則として妻に支払い義務はありません。
また、保証人になっているかどうかが問題なのであって、結婚しているか(離婚したか)どうかは関係ありません。 - 自己破産すると、ローンの残っている不動産はどうなる?
- 最終的には不動産の所持はできなくなります。
原則として、不動産は破産財団に組み入れられ、破産管財人によって換価されますので、所有は認められません。
例外的にローン残額が不動産の時価の1.5倍を上回る場合、破産財団から放棄され、破産手続上での処理がなされないのが通常です。この場合には住宅ローンの債権者(抵当権者)の対応に委ねられ、通常は競売の申立がなされ、買受人が現れると所有権を失います。